2018/07/25

キートルーダの治療再開



ライブ活動を一時休止してキートルーダの投与を再開した。




春3月に再開したものの2回投与した後3カ月スキップしていたので、3カ月ぶり通算6度目の投与になる。




6月の緊急入院以降先週まで体調を注視しながら動いてきた中で、心配される症状は特になかった。




一応今回の外来診療での検査結果は気になったが、レントゲンの結果も血液検査の結果のどちらも良好だった。




ただ緊急入院した際に心臓と心膜の間に溜まって、抜いた体液の組織検査でがん細胞が見られたので、キートルーダを再開することになった。






キートルーダは「免疫チェックポイント阻害剤」という種類の抗がん剤。




簡単に言うと免疫に攻撃されないように通常細胞のふりをしているがん細胞から、通常細胞の仮面を取り去って免疫に攻撃を促す薬らしい。




この薬が劇的に効いたおかげで私は奇跡的に今でも生き長らえていられるのだと思う。




がんが発覚した時は既にステージ4で、このままならばあと半年で・・という状況だった。




多くの先輩や友人をがんで失ってきた中で、常に漏れ聞いてきた噂は抗がん剤の有効性への疑問とその危険性の情報で、私の意識はそういった情報で膨らんでいた。




抗がん剤を避けた治療を始めてから約3カ月、通常治療の放射線治療の他にも、高濃度ビタミン治療やぬか風呂の温熱療法などを試みていたものの、みるみる衰弱していく身体と圧倒的に進む病状に、抗がん剤治療を受け入れる決断に至った。




発覚以来私も様々な情報を検索して見聞き読み込んできたが、私にとってはそうした抗がん剤情報は少なくとも半分はガセネタだった。




結果的に治療の効果があったかなかったかによって判断されるので、結果は患者の数だけあるといっても間違いではないので、断定的な情報はそもそも疑わしい。







最初にキートルーダを投与した昨年2月頃は、CRP(炎症反応)が高く10メートル歩くだけで疲れ果てるような体調の上、嚥下困難でストローを使って注意深く飲み込まないと水も誤嚥するような状況だった。




投与前に副作用などの説明や注意事項の説明を受けてから治療は始まった。




通常キートルーダは3週間おきに投与されるが、これから3回目という時に腸閉塞になってしまった。




小腸の周りのリンパ節の腫瘍がキートルーダによって小さくなる過程で小腸を巻き込み塞いでしまったのだった。




検査結果ではたった2回のキートルーダの投与で、がん細胞は劇的に小さくなってがんによる危機は脱したのだが、副作用の胃腸炎と肺炎の症状は現れ、特に胃腸炎は腸閉塞と相まって激しい嘔吐と下痢の症状に悩まされた。




そして間もなく3回目の投与の予定日が迫る頃に、腸閉塞が深刻な状況になり緊急入院をすることになった。




結局腸閉塞は緊急手術するまでに至ったが、その頃にはがんの影響による嚥下困難などの症状はかなり緩和されていた。




ただ腸閉塞や胃腸炎の症状が激しく、嚥下困難が緩和している事を実感している場合ではなかった。







昨年の入院中にも1度キートルーダを投与したが、やはり胃腸炎には悩まされた。




今年の2月にインドでシャワーを浴びている時に、左腋の下にしこりがあることに気づき、帰国後の3月からまたキートルーダの投与を再開した。




ただ思い返せばこの腋の下のしこりに気づく前に、昨年末に左肩に強烈な違和感を感じ、五十肩だと勝手に思い込んでいた。





そしてその違和感はしこりが消えると徐々に消えていった。






キートルーダを投与するとやはり副作用の胃腸炎は相変わらずだった。




個人差もあると思うし、私は腸閉塞の手術で十数センチ腸が短くなったせいもあるのか、横になると下痢の症状が現れる。




なので夜ゆっくりと休めず、1時間おきに目が覚めてトイレへ通う。




それさえなければ普通に日常の生活を送りながら治療を続けられるのだが、なかなかそういう訳にもいかない。




仕方なくライブやツアーの予定はかためてブッキングして、その間はキートルーダの投与はスキップしている。




胃腸炎と肺炎以外の副作用と思われる症状に嗅覚障害があり、約5ヵ月前から始まったが最近かなり緩和されてきた。




主治医の先生によると嗅覚障害の例は、私以外にも一例だけ聞いたことがあるらしい。




今回キートルーダの投与の時に看護師さんの問診の中で、何故3カ月スキップしたのか?という質問に、下痢がひどくなって仕事に差し支える程だったのでと答えた。





「それじゃあやはり食欲は?」との問いに。




「それは問題なくしっかり食べています。」と答えると。





看護師さんは3秒程絶句していた。