1986年に京都で出会って以来、最も長い付き合いになったインド人。
彼によって私は師と出会うことが出来た。
彼のおかげで私はベンガルの文化に直に触れることが出来、そこに暮らす人々の生活に受け入れられるチャンスを得ることが出来た。
そのような経験はその後の私の生き方に大きな影響と愉しみを与えてくれた。
修練に修練を重ねていく日々の中で、彼は師と共に私の中に眠っていた感覚をひとつひとつ呼び起こし、それらを丁寧に育む手助けをしてくれた。
そうして目覚めた感覚に、彼はRaagの絶対的な価値観の指標を示してくれた。
彼の多くのAll India Radioやコンサートでのパフォーマンスの内、私は数えるほどしか聴けていないのが今となっては残念で仕方ない。
彼の深い考察に基づいたRaag解釈と、極めて独創的なバンデッシュのコンポジション、そして何よりも巨大なカンバスに描くような世界観を感じさせる、美しい表現をもはや聴くことが出来なくなったことが悲しい。
彼はSenia Maihar流派のPandit Ajay Sinha Royスクールの伝統を体現し、さらに普遍的なものに昇華させることが出来る稀有な才能を持っていた。
先月中旬に体調を崩して入院したとの知らせを受けて祈り続けたが、残念なことに12月2日朝に彼は息を引き取った。
それ以来何も手につかない状態が続き、彼と縁のあった多くの人達にお伝え出来ずにいた。
このブログを通じて彼が愛した日本の友へお知らせすることをお許しください。
彼は師であり 最良の友でありました。