2011/04/24

Pandit Nikhil Banerjee(1931~1986)

多くの音楽家を輩出したMaihar Gharana(school)の中で最もユニークな演奏家の一人。
二大シタール奏者Pandit Ravi ShankarとUstad Vilayat Khanの圧倒的存在感とカリスマ性に、多くの奏者がその音楽をフォローしていった中で彼は独自の音楽性を執拗に追い求め、それを実現しうるに至った。
音楽への徹底的とも言えるバクティー(献身)は音楽における獰猛な求道者と言えた。
タッチ・音色・一つ一つのフレーズ、考え得る全てにおいて徹底的に独自のこだわりを貫く姿勢は、54才という若さでこの世を去らなければならないほどその身を削らせたのかも知れない。
独自のスタイルと言ってもそれは決してエゴイスティックなものではなく、それとは正反対の透明で涼やかな美しさに満ちた音楽だった。
その限りなく透明な音色に初めて触れたとき私は心の中の自分の知らなかった部分がピンとはじけた。
そして彼の獰猛な情熱が炸裂するクライマックスに至る頃にはわしづかみにされた心が遙か虚空に投げ上げられてしまった。

特に晩年の数年間演奏を重ねていくたびに彼は高みに登り詰めていく。
どこまで行ってしまうのだとファンの期待が最高潮に達したときに、突然彼は神にとりあげられてしまった。
そして残された世界中のファンは彼の余りに早すぎる死に慟哭した。

彼が世を去る3ヶ月ほど前のインタビューをweb上で読むことが出来る。
http://www.raga.com/interviews/207int1.html


http://www.youtube.com/watch?v=tT_BVK_Q6i8