2023/04/21

5月28日・29日 くすやまホール 茅ヶ崎

気まぐれな気象状況ですが、春から初夏に向かって過ごしやすくまた景色も楽しめる気候になりました。

個人的には花粉と黄砂の影響かいつも以上に痒く悩ましい時期でもあります。

私はおかげさまで発病から6年半を過ごし、今やっと普通という体調を実感出来るようにまでなりました。

体調を崩していた時は普通であることがどんなに尊いことなのかと感じていましたが、まさかまたそれを実感出来るとは思っていませんでした。

この状態が続くよう依然として治療は続き、キートルーダの投与ももうすぐ60回に達します。

気は抜けないものの副作用も抑えられ安定して良い状況が続いています。

思いもよらずいただいた時間を、ただただ有効な積み重ねになるよう過ごすことが出来ました。

昨年秋には腰の痛みなどを感じるようになり、その後のCT検査で再発の病変が見つかり、年末年始は久しぶりに放射線治療を受けました。

今回初めてかかった放射線内科の先生に「井上さん、カルテ見せていただきましたけれど壮絶でしたね。」と直球を投げられ、「えぇ・まぁ・・大変でした。」と言葉を濁してしまいました。

放射線技師の方にも「放射線治療も3回目で慣れてらっしゃいますね。」と褒められ、最終日にはお互い笑顔で「もうお会いしないことを願っています。」とお互いに言い、「ありがとうございました。」と治療室を後にしました。

放射線治療前に検査入院で組織のサンプルを取り出す病理検査しましたが、取り出した細胞組織が、転移なのか原発なのかはっきりと分からないようです。

何故なら時折原発のがん細胞が遅れて病変することもあり、転移なのか原発なのか病理検査でも判断がつきにくい場合があるそうです。

つまり原発よりも転移の方が先に成長することも多くあるようで、私もそもそもの始まりもまさにそれでした。

私自身の感覚では腸閉塞の手術後もずっと胃腸の違和感が残っていましたが、今回の放射線治療でその違和感が無くなったので、これは遅れてきた原発のように感じています。

おかげさまで体重も徐々に戻りつつあります。

あと自分で確認出来る範囲から言えば、自分の楽器の重さの感覚が元のイメージにもどれば、筋力も取り戻したことになると思います。

このような状態になれたこと、家族・友人と共に医師や看護師、病院全てのスタッフの皆さまに感謝すると共に、皆さまからいただいた応援やメッセージに改めてとても感謝しています。


ありがとうございます🙏



さてほぼ3年ぶりの演奏の告知をさせていただきます。

5月28日と29日に茅ヶ崎 くすやまホールで弾かせていただきます。

元々は1月に予定・準備していましたが、放射線治療があり延期された公演です。

ピアノ・チェンバロ奏者の楠山裕子さんは、二十五絃奏者の佐藤康子さんのご縁で今回初共演させていただきます。

リハーサルでの演奏からは包みこむような柔らかな音場がとても印象的でした。

バロックから現代音楽まで幅広く精力的に活動されていますが、昨年発売されたピアノ連弾によるコロンビアの舞曲集のCDは、クラシックとは違った民族的アプローチがとても魅力的で印象深く感じられます。

チェンバロとシタールは実は同じ絃なのです!

メーカーは世界中にいろいろあるようですが一般的にミュージックワイア(music wire)と呼ばれている同じ絃です。

楽器の音が重なると私自身も今まで感じたことのない響きを感じました。

やはり同じ絃から生まれる倍音なのでしょうか?倍音が楽しいです。

二十五絃筝の佐藤康子さんとは今回2度目の共演です。

柔らかい音の立ち上がりから楽器を響かせるまでの広大なダイナミクスを操り、たおやかな表現もさることながら、時には糸編に妖しいと書くような情感も生み出す変幻自在な音楽家です。

タブラの石田紫織さんとも2年ぶりにご一緒します。

今まで様々なシーンで共演してきた演奏家で、その広いキャパシティから繰り出す繊細な表現や、時にはワイルドなスピード感溢れるグルーブまでもあやつる気鋭のタブラ奏者です。


ご来場を楽しみにお待ちしています。

2023/01/19

ホームページ更新のお知らせ
Information for home page renewal

ホームページのリニューアルに伴い英語ページも立ち上げました。

日本語
https://www.kenjiinoue.com

English
https://www.kenjiinoue.com/en/index.html




そして懸案事項だった故 Pandit Sasanka Banerjee 先生から通常の伝承以外に伝えてくださった、Maihar 流派のルーツのバンデッシュや他流派のバンデッシュの内から、約100年前に活躍したLucknow 流派のサロード奏者 Ustad Kaukab Khan のバンデッシュとスワラビスタールを追加しました。


北インド音楽の生徒は自らの習ったものとの相違点を楽しみ、それ以外の方はRaagという概念を知るヒントとしていただけたら幸いです。


Pandit Sasanka Banerjee Collection Bandesh Index
https://www.kenjiinoue.com/en/collection/




YouTube で見つけた氏の音源のリンクは以下です。
また以前氏についての投稿で紹介したバンジョーによる演奏も、2つ見つかったのでリンクを貼ります。


6 ustad asadulla kaukab raag bhairavin




5 ustad asadulla kaukab or kaukab khan raag zila kafi




Kaukub Khan banjo Coln: Rantideb Maitra




Kaaukub Khan Banjo Coln: Rantideb Maitra




Maihar 流派のルーツである Rampur 流派3代(Mohamed Wajir Khan・Mohamed Sagir Khan・Mohamed Dabir Khan)や、他の歴史的音楽家によるドゥルパド・バンデッシュは後進に託しました。


いずれ準備が整い何らかの方法で順次公開されることを願っています。

2021/12/25

外来 41回目のキートルーダ投与

前回からの3週間はいつもの副作用はずっと続いた。



まあ想定内のこと。




日常生活の範囲ならばあまり不自由なことは無い。






復帰以降は演奏のスケジュールに合わせてキートルーダの投与を中断したりしていたが、去年からは図らずも治療とリハビリに専念出来る環境になった。





復帰と言ってもかつてのような活動が出来ていたわけではないし、不自由なことが多かったので依頼に全て応えることは出来ていない。





今は当時よりも副作用が穏やかになってきたので、リハビリも本格的なメニューをこなせるようになってきたが、それでも心肺機能はまだ6割くらいしか戻っていない。




そのような中この2年間は発病で中断していた断捨離を再開してかなり捗った。





そして勢いにまかせ断捨離を続けていたら、いつのまにか終活へとスムーズに移行していった感じだ。






発病した時は自分のあまりの準備不足に眩暈がした。






しかし今は着々と終活に勤しみ、不要になった楽器の処分やデータの移譲もあと少し。





今年最後の外来診療は主治医の先生に無事来年を迎えられる感謝を伝えて終了。








発病当時は自主公演が目白押しだったので、中止する際にやむを得ず病状を公表し今まで続けてきましたが、キートルーダ日記と括った報告はこれを以て終了します。







様々な応援・メッセージをありがとうございました







皆さまどうか良いお年をお迎えください





Merry Xmas and A Happy New Year

2021/12/07

外来 40回目のキートルーダ投与

今回は前回とは対照的に投与後すぐ調子が悪くなった。



症状はいつもの下痢と痒みだが、まさに毎回一期一会の反応、一喜一憂することもなくなった。




しかし良くも悪くも予想の範囲内というのはとても助かり、日常生活を送るにはもはや問題は無い。





改めてカレンダーの記録を見てみると発病からちょうど5年が経過していた。



自分でも予想をしていなかった展開には感謝しかない。








発病当初から多くの情報や励ましのメッセージ、そして多くのサポートをいただきありがとうございました。




かなり凝縮された5年間を過ごすことが出来ました。





まだ治療は続いていますが、薬の副作用も少しずつ穏やかになってきました。




改めてお礼申し上げます

2021/11/06

外来 39回目のキートルーダ投与

この3週間は副作用をほとんど感じることなく過ごすことが出来た。




毎回少しずつ変わるのでたまたまだろうが、久しぶりにストレス無く食事が出来たので体重も増えた。




環境など色々な要因があると思うが、久しぶりに快適に過ごすことが出来たと思う。








最近かつての腹式呼吸の状態に戻ることが出来たので、不思議と感覚的に取り戻せたものもある。







今回は点滴針を刺した後、看護師さんに「スポーツをされている方ですか?今日一の血管です。」と言われた。





以前は細い方の針を使っても、看護師さんを悩ませる、細く頼りない血管だったが、最近では血管も回復してきたようだ。









失う時はあっという間だったが、取り戻すには気の長い話になってしまった。




でもそれなりに長い時間愉しめる身体の変化として大切にしたい。

2021/10/19

外来 38回目のキートルーダ投与

前回から4週間、相変わらず副作用はあるものの、体力は順調なリハビリで確実に戻ってきている。




他に変化がわかるのはそれぞれ末端の回復で、例えば皮膚や爪や髪の毛の質などの状態が良くなってきている。



主な副作用は鍼灸師の先生の施術で日常生活の範囲には支障はなくなっている。



ただ治療に熱が入るあまりか施術が痛みを伴うようになってきている。



様々な痛みに慣れているとはいえ、ツボをグリグリと刺激されるとかなりの痛みを感じる。



そのような時は意識を飛ばして痛みをやり過ごす。



それ程の痛みを受け入れるのは、鍼灸の施術の効果がはっきりとあらわれるからだ。







今回のCTの画像を見るとキートルーダはまだ確実に効き続けているようだ。

2021/09/15

外来 37回目のキートルーダ投与

キートルーダの投与は通院化療科でする。



薬によっては2時間余りの点滴を受けている人もいるので、所要40分足らずの点滴は短時間なものだと思う。



前回投与からの体調や副作用については、主治医よりむしろ通院化療科の看護師さんの方に詳しく訊かれる。



勿論主治医には身体に起こったことを報告し、必要な薬を処方されるが、多くの患者が待っている主治医との時間は限られている。



化学療法を受ける患者も多く看護師スタッフも限られているが、体調など質問は多岐に渡って訊かれる。



その分こちらからの質問もしやすい。
主に副作用を抑える薬の質問を多くしてきたが効き方も人それぞれのようだ。



以前は痛み止め・下痢止め・痒み止めの様々な薬を飲んできたが、症状と共に少しずつ減っていき今は痒み止めのみになった。



副作用を抑える為に飲んでいる薬の副作用もあり、自分の症状を見極めながら自分で調整していかなければならないのも分かってきた。



自分が健康体だと勘違いしていた時は、薬を飲むことを極端に嫌っていたので変われば変わるものだ。



現在服用中の抗アレルギー剤と痒み止めの薬の私の場合の副作用は、眠気と無気力だろうか。



それでも痒みが完全に抑えられているわけではないが、これ以上やる気が無くなるのも考えものだ。