2011/05/15

Gwalior Gharana

いよいよ真打ち登場。
Gwalior Gharana は北インドの音楽の中心的流派。
声楽 Khyal の最も古い Gharana の一つでここからAgra Gharana や Jaipur Gharana も派生している。
古くから音楽が盛んで様々な様式を研究し中世から音楽の都として多くの音楽家を輩出している。
現在の音楽のルーツを辿ると必ず登場する楽聖ミヤン・タンセンも Gwalior 出身と言われている。

メロディー溢れる即興や独特なガマックやターンを駆使。
最も特徴的なのは普通 Khyal ではゆっくり(Vilambit)の早さからガットが始まるスタイルが多いが, Gwalior Gharanaでは 中庸(Madhyam)の早さの バンデッシュ(テーマのメロディー)からガットが始まる。

Pandit D V Paluskar
Baiju Bawra でも紹介した声楽家。
早くに父の Pandit Vishnu Digambar Paluskarを失い Pandit Vinayakrao Patwadhan と Pandit Narayanrao Vyas から指導を受け、また他の Gharana のスタイルを取り入れ独自の音楽を創造するが脳炎で34才の若さで亡くなる。
最後に録音したLPレコード Rag Shree でプレイバックを聴いた彼は完璧ではないので録り直したいと言ったがそれは叶わなかった。
まだ私はこの録音のどこに完璧でないものが存在するのかわからずにいる。




Pandit Omkarnath Thakur
Pandit Vishnu Digambar Paluskar が設立した音楽学校、 Gandharva Mahavidyalaya で学んだ。
ラーガへの厳格なアプローチと正確に情感を喚起させるパフォーマンスは孤高とも言える時代を代表する声楽家。




Pandit Kumar Gandharva
片肺の摘出手術をしていたためブレス(息)が普通の半分なのだが、短いフレーズでも説得力ある即興はその構成力と魂のこもった歌声によるものなのか?
美しさと面白さを浮き彫りにさせるアプローチと共に、声質では魅惑のハイトーンを持っている数少ない声楽家の一人。



彼の少年時代の動画。
この老成した子供と、この時代の映像が残っていることに驚きを覚える。