今年 7月1日のライブの終演後に打ち上げ会場に移動して、まさに乾杯というタイミングで電話が鳴った。
それはグルバイの中井立行さんの訃報だった。
癌による63才の早過ぎる旅立ちだった。
半年間同じ釜の飯を食べ、共に切磋琢磨してきた彼の追悼文をずっと書けないうちに、自分が同じ病に冒されるというのもなんとも皮肉な状況だ。
グルジーに弟子入りした最初の半年間は彼ともう一人、タブラを勉強に来ていた樋口志郎さんと3人でフラットを借りての共同生活だった。
朝の目覚めから寝るまでの間、それぞれの部屋で練習していたが、とにかく誰よりも先に練習を始め、誰よりも遅くまで練習するというのが自分自身に課した課題だった。
今では他人と比較することなど愚かでくだらないことと思っているが、当時の若い時期の競争心のようなものが練習時間に反映させていた。
練習だけではなくコンサートにもよく出かけた。
当時のコンサートは刺激に満ちており、Ustad Ali Akbar KhanやPandit Ravi ShankarやUstad Vilayat Khanを始めとする器楽の巨匠に加え、Pandit Bhimsen JoshiやPandit Kumar gandharvaなどの声楽の巨匠のパフォーマンスが目白押しで、コンサートの帰り道にはそれぞれのパフォーマンスについて尽きることのない話題で盛り上がった。
私自身にとって最も輝かしく刺激に満ちたコンサートを共有出来た数少ない友。
最近では数年に一度会う関係だった。
中井さんには感謝以外の何物も浮かんでこない。
ありがとう