入院するまでは音楽を聴くことは滅多になかった。
練習が日課で休憩時間は音楽から解放されたいので、資料の音源や勉強の材料を聴くことはあっても普段音楽を楽しむことはなかった。
入院生活に入ってから今までずっと聴けておらず、後回しにしてずっと気になっていたものをまとめて聴いている。
バロックは興味はあるものの限られた作曲家しか知らなかったが、それを時間に任せて前期、中期、後期通して聴くことができた。
バロックの時代は日本では安土桃山時代から江戸時代前期にかけて、インドではムガール朝の時代でいずれも宮廷文化が栄えた時代で、バロック時代の音楽家は宮廷や教会で音楽をしていた時代で興味は尽きない。
以前は教会音楽にあまり馴染めなかったが、不思議なことに今はとても自然に入ってくる。
心洗われるようなモンテベルディやフランチェスコ・カバッリのメロディーも素直に入ってくる。
実は今回の入院で自分自身の心や感情の襞のようなものが変化したような気がしている。
それはかつて持っていていつの間にか失われた感情が蘇ったり、新たに目覚めた感情などによって形作られたものだと思う。
自分でもその変化に驚いていて今後も音楽の嗜好が変化していくのか気になるところだ。
そして今回緊迫感のある時間を過ごしてきたせいか心や感情以外に意識にも大きな変化が見られる。
多分今後の生活、仕事、そして時間の過ごし方なども今までとは変わっていくだろうと思う。
今までこの時期の音楽はバッハばかりに焦点を当ててきていたが、この数日でビバルディの面白さを再確認できた。