コルカタでムガール料理が根づいたきっかけは、イギリスがワジット・アリ・シャー(1822〜1887)をオウド(ラクノウ)からカルカッタ(コルカタ)に強制的に移り住ませたことにより始まった。
イギリスに最後まで抵抗し続けてきたオウドがいよいよ征服されようとした時、イギリス軍が王宮に攻め込んでいくと家臣達が皆逃げて誰もいなくなった王の居室のベッドの上にワジット・アリ・シャーがぽつんと座っていた。
イギリス軍の将校が「家臣が皆逃げたというのに王様は何故逃げなかったのですか?」と訊くと、「朝、私の履き物を持ってくる家臣が来ない。」と答えたという。
そしてワジット・アリ・シャーと接していくうちに、このナワーブ(王)は今まで征服してきた国のマハラジャとは違う、オウドに置いていてはまずいと考えたイギリスは首都カルカッタで直接管理下に置くことにした。
ワジット・アリ・シャーは趣味に没頭するあまり、王として国を統治する能力に欠けていたと言われているが、このナワーブ(大公)が当時のカルカッタに与えた影響は計り知れず、音楽・舞踊をはじめとする芸術分野から料理・スイーツにいたるまでこの地に爆発的な発展をもたらした。
Shirazはコルカタでムガール料理を食べられる伝統的な老舗レストラン。
他にもAminiaやArsalanもムガール料理の老舗レストランもあり、それぞれスペシャリテを持っている。
Shirazは私が最も長く通っているレストランの一つだが、毎回何かしら感心させられている。
先ず何よりここで使われている肉はとにかく美味い。
味つけは勿論だが肉自体の味が滋味深くさすがと言う他はない。
そして重要なメニューのムグライ系のホワイトグレービーも、コルマ系のレッドグレービーも見事なレシピでブレがない。
個人的にはここのチキンチャップは絶対に外せない。
そしてここの鉄板メニューはムグライ系のマトンレザラ。
それはそれはヤバい美味い一皿だ。